小原地区・旅館やくせん~二世代で癒しの空間を提供~
しろいし×ヒト
女将の則子さん(右)、二代目女将の葉子さん
白石湯沢温泉 「旅館やくせん」は1994年創業。白石市小原地区の下戸沢という、かつて参勤交代の宿場町として栄えた山間部の集落にある唯一の旅館です。市が管理する小原地区の移住体験住宅(お試し住宅)から車で5分ほどの場所にあり、里山のロケーションを楽しめるくつろぎの場として親しまれています。
今回、お話をお聞きしたのは、明るく気さくな女将・佐藤則子さんと二代目女将・葉子さんです。
里山のロケーションを楽しめる天然温泉
則子さんと夫で館主の覚さんは、もともと丸森町で林業を営んでいました。木材資源のある小原地区には何度も訪れていて、地域の方とも交流がありました。そのご縁で、温泉が湧く場所があると紹介されたことが旅館やくせんの始まり。「館主(覚さん)が何でも一からつくる人で、畑や田んぼだったこの土地に旅館そのものを建てるところから始まりました」と則子さん。これまでカラオケ大会やダンスイベント、タケノコ狩りツアーなど多種多様な催しを企画し、首都圏など県外のリピーターが多いといいます。「長い付き合いになり、常連さんとは親戚みたいな関係です。20年以上通っている方もいます」。日本でも数少ないという含石膏芒硝泉(がんせっこうぼうしょうせん)という、飲用にも適した泉質が特徴で、日帰りや宿泊客のほかに、飲料水として買い求めるお客さんもいます。
現在は料理長を務める長男・宏之さんと妻・葉子さんも加わり、家族と従業員で切り盛りしています。
小原の景色を感じられる客室(13室)
旅館までの道のり。6~7月はアジサイ、春は桜並木が楽しめるそう
敷地内で育てた野菜を提供するのも特徴。案内する則子さん
【女将から二代目女将へ】
お2人とも、福島県伊達市出身でそれぞれ結婚を機に宮城県へ。則子さんは「地域の支えがあって今まで続けてこれています。継いでくれる人がいるのは心強いので、どうにか絶やさずにやっていきたいです」と話していました。
一方、小原へ移住し5年目の葉子さんは「最初、ガードレールにサルがいっぱい座っていたのにびっくりしました。自然がいっぱいでとても静かなところが魅力」と話していました。葉子さんは2人の男の子を育てていて、下戸沢集落では唯一子供のいる家庭です。山間部ということもあり、保育園や小学校へ送迎しながらの旅館業。大変さを語るどころか、「実は20代のカップルや家族連れのお客さんも多い。若い世代の方々に来ていただけるような取り組みをしていければ」と今後への意欲を話していました。
◆白石I.Cから車で約40分
◆小原地区の移住体験住宅(お試し住宅)からは車で約5分