【学生ライター】白石純度100%の「白石和紙」
伝統と歴史

白石和紙は、白石温麺・白石葛に並ぶ、江戸時代から続く白石三大特産品の一つです。今回は、今も白石和紙を唯一漉き続けている団体「蔵富人」さんに、お話しを聞いて来ました。
白石和紙に絶対欠かせない「トラフコウゾ」

白石和紙の命とも言えるのが、原材料の「トラフコウゾ」です。和紙の原料である楮の一種で、繊維が細くて長く、柔らかいです。実際に触ってみると、非常に軽く、繊維が綺麗で、和紙造りに向いているように感じました。「蔵富人」さんは、「この楮がなければ、白石和紙を作ることはできなく、トラフコウゾが栽培できなくなった時が、白石和紙の終わり」だとおっしゃっていました。
白石和紙のすごいところ

白石和紙の大きな特徴として、強度と耐久性に優れている点があるのですが、現代の目線から見ると、純粋な楮和紙である点が非常に魅力的です。というのも、現代では和紙の生産自体が乏しく、生産していても輸入の原材料の使用が多い中で、白石和紙は、楮の栽培から紙漉きまでを一貫して生産している数少ない貴重な和紙なのです。
ここにも注目!

白石和紙は、糊を使用していないため、水に入れると溶けて、また再利用できるという一面もあります。不要になったら原料に戻すことで、品質を落としながらも(最終的にはちり紙に)、何度も再利用できるというのはとても昔っぽい性質です。また、白石産の柿から抽出した自家製の柿渋で染めているため、独特の風合いが感じられるのも素敵です。
和紙の服

強くて丈夫な白石和紙は、和紙として使われるだけではなく、白石紙衣という衣類の素材として使われることもありました。コンニャク粉から作った糊を、和紙に塗って乾燥させ、強くしたものを白石紙子と呼び、これを柔らかくなるように揉んでから縫製した衣類が白石紙衣です。このこんにゃく糊がポイントで、普通の布では空気の温度に合わせて冷えてしまうのも、コンニャク糊で加工した白石和紙は、非常に暖かみがあり、体温が奪われない感じがよくしました。だからこそ、東北の寒い地域の衣類として最適だったことがうかがえます。今では、白石紙衣の素地である、白石紙子に型で模様をつけた名刺入れや財布が作られています。
白石和紙の思いを継ぐ団体「蔵富人」

時代の変化とともに、白石和紙の製造はだんだん減ってきており、今現在では「蔵富人」という有志団体のみが、製造を続けています。また、「白石和紙あかりワークショップ」や「白石和紙あかり展示会」を開催し、白石和紙の良さを広めています。お話しを聞くと、「白石産の原料だけを使い、白石に伝わる製法のままに手作業で漉くのが白石和紙である」という強い思いが伝わってきました。
活躍する白石和紙

「蔵富人」さんが作る白石和紙は、リオオリンピック金メダルリストのタカマツペアに贈られた「宮城県民栄誉賞」の表彰状用紙や、ローラーペイントアーティストとして活躍している宮城県出身のさとうたけし氏の作品の用紙として提供され、様々な場面で活躍しています。また、地元の中学校の卒業証書の用紙としても使われ、地元の伝統品の魅力を知るきっかけにもなっている。
白石和紙を使った製品が手に入る場所
