村上さきさん~伝統食・笹巻を伝える~
しろいし×ヒト
村上さきさん
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【笹巻とは?】
白石市の伝統食「笹巻(ささまき)」。保存食として伝わる大切な食文化の一つです。材料はもち米、笹、イグサの3点セット。笹巻づくりに使われる笹は大きな葉がなる「クマザサ」。クマザサが採れる5月末に笹巻づくりが始まります。
1~2時間ほど水に浸したもち米をクマザサで巻き、イグサで結びます。イグサとは、畳や茣蓙(ござ)の材料に使われる丈夫な植物のことで、イグサの結び方で美しい笹巻に仕上がるかが決まるほど、重要な作業です。
結び終わると一晩、浸水させてから茹でて完成です。笹巻は乾いても、再び茹でると柔らかくなる万能の保存食として白石で重宝されてきたといいます。
とても手間のかかる作業ですが、村上さんは慣れた手つきでどんどん進めていきます。越河地区の村上さんのご実家では、子供たちの健康を祈るという意味も込め、子供から大人まで家族でつくるのが当たり前。「完成した物は、親戚にも配る。神棚につるして、お腹が空いたら一つほどいて食べるのも楽しかった」と振り返っていました。
笹巻の巻き方
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イグサで結ぶ作業。笹を固定する
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結び目もとても美しい
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完成品
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茹でて仕上がり。きなこや黒蜜をつけて食べるそうです。
【むらかみさんち・村上さんについて】
「おばあさんがとても料理上手な人だった。笹巻づくりでは、きれいで早く仕上げることができないとダメだと言われて、厳しい人だったね」と村上さん。20歳で大平地区の米農家に嫁ぎ、家業で忙しい日々を送り笹巻づくりをしなくなったといいます。そんな中、自分の子供にも食べさせたいと再びつくり始めました。
加工食品の製造・販売に取り組む村上さんの屋号は「むらかみさんち」。元々料理が好きだった村上さんの梅干しが周囲から人気で、商品化したのがスタートでした。もち米をつかった料理やおにぎりも好評で、さらに多様な種類の野菜ジャムの開発など、幅を広げてきました。現在は草餅と大福を年間通じて製造し、市内のおもしろいし市場に卸しています。
近頃はイチゴ農家の方と連携してイチゴ大福を製造、昨年は白石市産ササニシキを使用した甘酒づくりにチャレンジするなど、伝統の食を守りつつも地元食材の新たな活用について考えています。
「おばあさんが本当に厳しい人だった。けど、そのおかげだよね、こうして仕事をしているのは」と村上さん
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