酪農家・佐久間純一さん 文子さん~乳牛と共に60年以上~

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酪農家・佐久間純一さん 文子さん~乳牛と共に60年以上~

しろいし×ヒト

佐久間純一さん、妻の文子さん

佐久間純一さん、妻の文子さん
【酪農一筋の人生】
 佐久間さんは長年にわたり、酪農家として家業に励んできました。蔵王連峰最南端に位置する不忘山の麓にある不忘に牧場があり、まわりには広大な牧草地が広がっています。現在、70頭の乳牛を飼育する佐久間さん。牛乳は1日に1100~1200リットル出荷し、スーパーに並んでいる一般的な牛乳パック(1リットル)1000~1100本分になるとうことです。すでに娘夫婦が後継者となり、第一線から身を引いているものの、佐久間さんの酪農への想いは熱く「お声がかかれば出張で出向いて乳牛の話やバターづくりを教えたい」とさらなる意欲を話しています。
【不忘は開拓の地】
 終戦後、昭和21年。中国からの開拓団が不忘に入植しました。入植したのは当所50戸ほどで、農作物をはじめ山羊や羊を育てるなど試行錯誤を繰り返します。高冷地の厳しい自然条件下での生活を断念し去った人々も多く、現在は27戸ほどになりました。
 昭和30年に乳牛の貸付が始まり、佐久間さんは幼少の頃から60年以上酪農に関わってきました。「父は中国の開拓団(満蒙開拓団)で、旧ソ連に抑留されて強制労働をしてきた。母も(戦後)日本に1年かけて戻ってくることができた人で…。開拓の話をすれば戦争の話もあるし時間が足りないよ」と、家族や先人を思い起こします。

牧場から見える不忘山

牧場から見える不忘山

昭和23年5月に鎮座された不忘神社。開拓民の心の拠り所として信仰されている。

昭和23年5月に鎮座された不忘神社。開拓民の心の拠り所として信仰されている。
【もっと、酪農を知ってほしい】
 酪農について多くの方に理解を深めてもらおうと、佐久間さんご夫妻はさまざまな活動に取り組んできました。中でも酪農体験やバターづくり体験など、牧場体験の受け入れに力を入れ、これまで小学生を中心に中学・高校・大学のサークル生といった将来を担う世代を多い年で年間約1000人に広めたといいます。このほか、地元のホテルと連携したイベントで家族連れに向けて酪農体験を行い、“酪農家と消費者をつなぐ”ことに人一倍熱い想いを抱いています。
【地元への想い】
 生活すべてを切り開いてきた開拓精神が根付く土地で育った佐久間さん。「決して楽な仕事ではないので厳しいことや大変なことも(酪農体験で)教える。体験をした子供の中には、本格的に酪農の道へ進みたいと、自主的にまた体験をしに来た子もいた。交流が広がることが、喜びにもなった」といいます。農業委員や自治会長を務めた経験も踏まえ、「白石は斎川や越河など比較的温暖な地域や、スキー場やキャンプ場のある山麓地域もある。一生懸命頑張っている人たちがいるので、もっと皆で魅力を認識し合っていけばさらに発展していける」と語っていました。
 一方、妻の文子さんは白石生まれですが家族の都合で一度白石を離れ、県外での生活も経験されています。「今の白石に満足するのではなく、地元の人たちが互いを知ろうとするともっと良くなる」と話していました。

熱意を語る佐久間さん

熱意を語る佐久間さん

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